音楽データツールを提供するChartmetricのジェイソン・ジョーヴェン氏が「トリガー・シティ(※Chartmetricのチャズ・ジェンキンス氏によって考案された表現)」について分析するブログを発表した。
要約すると、オンラインにおいて楽曲の人気が出始める地域、世界的なヒットに繋がりやすい地域を理解する内容になっている。これらは、常に明白な地域(例えばロンドンやニューヨーク、ロサンゼルス、ベルリン、ストックホルムなど、自分たちをテイストメーカーとして位置付け田がる人々がいる都市)であるとは限らない。
「インドネシアの流行に敏感な人がSoundCloud上で無料で見つけた楽曲を、次の週には、Spotifyプレミアムをファミリープランで使うアイオワ州の10代ユーザーが再生しているかもしれません。もしくは同じ日にそうなることだってあり得ます。」とジョーヴェン氏は述べる。
音楽業界はまだ、音楽プロモーションとバイラリティーにおける根本的変化を理解しようとしている段階にあるとジョーヴェン氏は主張している。
楽曲の「誇大宣伝の源」は今や「社会経済的に、IFPIが毎年測定する世界のストリーミング収益への貢献度がそれほど高くない都市」でも発生しうる。これらの都市が「トリガー・シティ」であり、事実上、楽曲に対して、分散した一連のゲートキーパーとしての役割を果たしており、ストリーミングが成長するに従って、影響力を増していくという。
昨年ジェンキンス氏が実施した楽曲の初期分析(アーティストの国籍にフォーカスするのではなく、ストリーミングにおいて勢いが増した地域を調べたもの)では、「中南米と南および東南アジアの『トリガー・シティ』は、より早く新興のアーティストにエンゲージメントを示す傾向がある」ことを発見している。これは、聴かれているアーティストの出身地に関わらず、だという。トリガー・シティが引き金となり、ドミノ効果的に他の都市がそれに続いているとのこと。
ジョーヴェン氏がデータを詳細に調べたところによると、Spotifyにおける月間リスナー数ではメキシコシティとサンティアゴが上位二都市だったとのこと(ちなみにサンパウロは5番目)。ジャカルタ、ブエノス・アイレス、ケソンシティも上位20位以内にランクインしている。
YouTubeでは、メキシコシティ、バンコク、ボゴタ、サンティアゴ、リマ、サンパウロ、インドの複数都市が上位を占めているという。しかし、ジョーヴェン氏は、重要な警告として、アメリカのヒット曲がこれらの都市で容易に優勢になれるわけではないと付け加えている。
突き詰めると、音楽業界は、どこにマーケティング費用やオンライン広告予算を使うか配分するかを考える必要があるという。これらの「トリガー・シティ」は、従来、費用が多く割かれてきた都市よりも、ずっと多くのストリーミング再生回数(そしてずっと多くの収益)を生み出すことができる。この事実を念頭に置いて、ビジネスは焦点と取り組みを再調整していく必要があるだろう。