インディペンデント・アーティスト向けのディストリビューターであるUnitedMastersとDitto Musicは、TikTokと直接契約で合意しました。この合意は、2社から配信するアーティストの楽曲が、引き続きTikTokプラットフォームで配信されるだけでなく、アーティストのTikTokにおける収益化やプロモーションも強化されることを意味します。
TikTokがMerlinとのライセンス交渉から撤退。レーベルと直接契約を目指す方針、インディーアーティストの音楽がTikTokから消える可能性
興味深いことに、UnitedMastersとDitto Musicは、両社ともMerlinメンバー企業でもあります。Merlinとの既存契約が終了する10月31日を前に、大手ディストリビューターが、TikTokと直接契約が実現したことによって、今後、他社がどのような動きをするか、注目が集まります。なお、UnitedMastersも、Ditto Musicも、引き続きMerlinのメンバー企業であることも明らかにしました。
UnitedMastersの発表によれば、契約は複数年に渡る条件で、TikTokは今後、UnitedMastersのアーティストに対して「追加の収益化の機会」を提供します。プレスリリースには、TikTokの商用音楽ライブラリ（CML）を通じた取り組みや、シンクロ・ビジネスなどに言及されており、UnitedMastersで配信するアーティストには、収益化とプロモーションの機会が増えることが予想されます。
一方、Ditto Musicの共同創業者でCEOのリー・パーソンズ (Lee Parsons)は、今回の直接契約によって、Dittoから配信するアーティストは、TikTokからの収益化が向上すると述べます。契約条件には、TikTokに加えて、CapCut、TikTokの商用音楽ライブラリの活用が含まれる内容であることを明らかにしました。
TikTokにとって、Merlinとの契約更新を行わない場合でも、多くのインディペンデントアーティストが、TikTokに引き続き配信可能な状態を維持することを意味します。
一部のレーベルは、ディストリビューターがいち早く契約を結んだことを脅威と捉えるかもしれません。DSPと直接交渉ができ、条件を引き出せるディストリビューターの存在が強くなれば、ディストリビューターを選ぶアーティストが増えると考えられます。レーベルは、アーティスト契約や獲得競争で、不利な立場になる可能性もあるからです。