先週、Music Allyが主催するデジタル・マーケティング・カンファレンス「Sandbox Summit」がニューヨークで開催された。カンファレンスでは、Vevoのビジネス・オペレーション / 戦略マネージャーであるグレッグ・ダフィー氏から、YouTubeのおすすめアルゴリズムが音楽ビデオに与える影響の傾向に関する講演があった。
ダフィー氏は、Vevoのカタログ再生数の74%が、YouTubeのアルゴリズムによるおすすめから生まれていると語る。一方で、関連動画からのトラフィックは下がってきており、代わりに一番のトラフィック・ソースとなっているのは再生リストだという。
「プレイリストから来る動画コンテンツの再生数は60%近く成長しています。現在、音楽ビデオ・コンテンツの再生回数を一番活性化させているのは再生リストなのです。関連動画から来る再生回数は、再生リストが成長するのと同じ率で低下しています。」とダフィー氏は述べている。
ダフィー氏がここで述べる再生リストとは、YouTube上でアルゴリズムによって作成されている再生リストのことだ。SpotifyやApple Music、その他のオーディオ・ストリーミング・サービスで親しまれているような、人がキュレーションしたプレイリスト(再生リスト)には言及していない。YouTubeに音楽ビデオをアップロードする人は皆、動画がきちんとこれらの再生リストに組み込まれるよう、「総再生時間」と「視聴者維持率」の指標に注意すべきだという。
ダフィー氏は、芸術的観点から動画の最初の2分間にアーティストが喋っているパートを入れた、ある音楽ビデオの視聴者維持率のグラフを例として挙げた。ファンの多くは途中で聴くのをやめている他、音楽だけを聴くためにお喋り部分を飛ばすユーザーも多かったという。これではアルゴリズムに良い働きをするわけがない。
事実、この動画の「類似」バージョンである、お喋りパート抜きの動画では再生回数が15億回になったのに対し、お喋りパート有りの公式動画は7億5,000万回とおよそ半分という結果となった。つまり、お喋りパート無しの動画の方が視聴者維持率が高く、アルゴリズムによる再生リストに組み込まれやすかったためと見られる。
ダフィー氏はさらに、動画のサムネイル画像も非常に重要だと主張している。「コントラスト、明るさをしっかり設定して、アーティストの顔をよく見えるように」することが一番効果的だという。ミュージシャンは、YouTubeというプラットフォーム上でYouTuberとどちらが注目を集められるかを競っていると言っても過言ではなく、YouTuberはこれらのテクニックを自然と知っているためだ。
「YouTubeというエコシステムで、ルールに従ってプレーすることで成功している人がいます。もしルールに従わないとなると、苦戦するでしょうね」とダフィー氏は述べた。