ロンドンで開催されたMusic Ally 主催のSandbox Summitで、Vevoのオリジナル・コンテンツ&プロダクション部副部長のエド・ウォーカー氏は、YouTubeの動画が、プラットフォームのおすすめアルゴリズムから恩恵を受ける方法について説明した。

ウォーカー氏は、Vevoのミュージック・ビデオおよびオリジナル・コンテンツのカタログ(合計40万本以上の動画)を用いて、レーベルやアーティストが考えるべき戦術の種類を示した。Vevoのカタログは、2019年第1四半期だけで763億もの再生回数をYouTube上で稼いでいる。

Vevoの再生回数の75%はアルゴリズムのおすすめ(「次の動画」など)から発生しており、ウォーカー氏は、「デザインがコンテンツ最適化の鍵」になるとして、YouTube動画という文脈における優れたデザインの例を紹介した。

「我々は、ビジネスとして、アルゴリズムに取り組み、理解することが、パートナーに再生回数および価値をもたらすための鍵となることを知っています。最初の15秒から30秒は、アルゴリズム内でポジティブな繋がりを確立し、下向きの死のスパイラルではなく、上向きのポジティブなスパイラルに持っていくための鍵となります。」

ウォーカー氏は、匿名のメジャー・ポップ・アーティストによる同じ楽曲の二つの異なるビデオの例を挙げた。「セットアップ期間(音楽開始前の音楽ではない紹介部分)」を含むビデオでは、YouTubeのアルゴリズムによって促進された再生回数は7億5,000万回だったが、音楽が最初から始まるビデオでは、アルゴリズムによる再生回数は15億回となったという。

これら二つのビデオのただ一つの違いは、冗長な非音楽的紹介部分がカットされていたか否かだけだった。つまり、動画の最初から音楽を流し始めた方が、アルゴリズムによって促進される再生回数が伸びやすいということになる。

このルールに則り、以前は30秒の紹介部分を含んでいた、独自の「Dscvr」シリーズの動画のフォーマットをVevoは変更することにしたという。変更前のデータで、「かなり深刻な離脱率」があることにVevoは気づき、解決策として、ウォーカー氏が「サムネイルの最適化」と呼ぶ方法で、動画に関する重要な情報をサムネイルに記載し、紹介部分を無くすことで、視聴者が再生ボタンを押すと同時に、すぐに音楽が流れ始めるようにしたとのこと。「オーディエンスはクリックしたのです。動画を見たがっているということです。だから、彼らにそのまま見せようと思いました」とウォーカー氏は語った。

さらに、ウォーカー氏は、動画のメタデータを正しく設定することも重要な要素であると強調した。「タイトルは非常に重要です。動画の内容を正確に示す魅力的なサムネイルで人々をコンテンツに導き、人々がコンテンツを再生し始めたら、説明した内容のコンテンツがちゃんと人々に提供されるようにしておかなくてはなりません。そうではないと、人々が動画から離脱する原因を作ることとなり、ひいてはアルゴリズム的な死のスパイラルに繋がることになってしまいます。」とウォーカー氏は説明した。