ワーナー・ミュージックがIPOの計画を発表したばかりだが、今度は、ヴィヴェンディがユニバーサル・ミュージック・グループの株式公開の計画が進行中であることを発表した。「現在、遅くても2023年初頭までに、新規株式公開を予定しています」とヴィヴェンディの最新財務報告の中の一文は説明している。

これは、テンセント主導のコンソーシアムによる、ユニバーサル・ミュージック・グループの株式10%取得に続くものとなっている。ユニバーサル・ミュージック・グループは300億ユーロ(約3兆5,640億円)と評価されており、2021年1月中旬までに、最大10%をさらに追加購入するオプションも用意されている。ヴィヴェンディによると、この取引は、規制当局によって承認され、6月末までにプロセスが完了する予定だという。また、同じ評価額で、「追加の少数株主持分の売却の可能性に関して、継続中の交渉」があると付け加えている。

我々は、確実に、公開された音楽企業の時代に入りつつあるようだ。2017年にはSpotifyとテンセント・ミュージックがお互いの株を交換しており、ともに上場を済ませ、テンセント・ミュージックは間もなくユニバーサル・ミュージックの株式を取得しようとしている。ワーナー・ミュージックはDeezerとテンセント・ミュージックの少数株式を保有しており、親会社のAccess Industriesは、Deezerの支配的持分を保有している。さらに、Pandoraを所有するSiriusXMは、現在SoundCloudの少数株主であり、SiriusXMの過半数株式所有者であるLiberty Mediaは、ユニバーサル・ミュージックの潜在的な追加投資家の候補としてまだ除外されていない。

これらストリーミング・サービスの成長は、音楽リリースの新しいモデルと、アーティストの契約及び権利所有の性質に関する新たな議論を促進しており、主要な音楽権利保有者のビジネスにとって、大きな波及効果(プラスおよびマイナス)をもたらしうる。業界にとっては、複雑かつ魅力的な意味を示唆する状況だが、インディーズ団体のIMPALAが、ユニバーサル・ミュージック・グループおよびテンセントの繋がりについて示した懸念のように、議論の余地もあるかもしれない。

ちなみに、ユニバーサル・ミュージックの事業は活況を呈している。2019年、ユニバーサル・ミュージック・グループの売上高は18.9%成長して71億6千万ユーロ(約8,506億5千万円)となった。これには、16.7%の成長を見せた録音原盤売上高の56億3千万ユーロ(約6,688億7千万円)と、11.7%の成長を見せた出版売上高の10億5千万ユーロ(約1,247億5千万円)も含まれている。録音原盤売上高の中では、サブスクリプションおよびストリーミングが28.1%成長して33億3千万ユーロ(約3,955億8千万円)となり、フィジカルの売上も、6.5%成長して10億1千万ユーロ(約1,199億8千万円)となったとのこと。