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メジャーレコード会社の一つ、ワーナーミュージック・グループは、今年、フランスのディストリビューター大手「Believe」買収を検討していましたが、最終的には買収提案には至りませんでした。しかし、同社は、成長著しいインディペンデント音楽市場におけるビジネスを拡大するため、今度は、別のディストリビューション会社の買収を検討している模様です。

米ビルボードが報じた情報筋からの内部事情によると、買収検討先に挙がっているのは、DIYアーティスト向けディストリビューションツールの「DistroKid」と、Downtown Musicが所有する「CD Baby」。情報筋によれば、まだ模索段階にある状態と伝えています。

ワーナーミュージック、Downtown Musicは、ビルボードからの問い合わせにコメントを控えました。

Believeの買収を狙ったワーナーミュージック、提案は行わず

DistroKidに対する買収提案が実行されれば、音楽業界からも注目は高まるでしょう。同社は、2021年の資金調達ラウンドで企業価値が13億ドルと評価されました。

同年にDSPにアップロードされる新曲の30-40%を配信していると主張しました。一方、多くのアーティストが利用するディストリビューターが、メジャーレコード会社に買収される可能性について、インディペンデント音楽コミュニティや、中小規模なレーベル、独立系ディストリビューター、業界団体から、Believeに対する買収提案の際と同じように、多くの意見が浮上することは言うまでもありません。

ワーナーミュージックは、ディストリビューター買収を含めて、市場シェアのさらなる獲得を目指し、ゴールドマン・サックスから、音楽・ライブエンターテイメント投資銀行業務の責任者を務めていたマイケル・ライアン・サザン (Michael Ryan-Southern)が、新設された企業開発担当執行副社長に8月から就任する、新たな人事を発表しました

ライアン・サザンは、WMGの成長と収益を向上させる企業買収、カタログ権利の買収を担当します。その中には、Believeよりも規模とコストの小さなディストリビューターの買収も含まれます。ディストリビューション事業やアーティスト・レーベルサービス事業を拡大することで、市場シェアを拡大させる狙いがあります。

ゴールドマン・サックスにおけるライアン・サザンは、音楽業界において、重要な財務アドバイザーの一人として、多くの企業にアドバイスを提供してきました。

ゴールドマン・サックスのエンタテインメント投資銀行部門グローバル責任者のアーロン・シーゲル(Aaron Siegel)と共に、Believeの創業者でCEOのデニス・ラデガイリー、投資会社EQTとTCVの3者で構成されたコンソーシアムに対して、Believeの非上場株式化のアドバイザーを務めていました。

その他には、ラスベガスの球体型アリーナ「スフィア」を運営するスフィア・エンターテインメントの資金調達、投資ファンドであるニューマウンテンキャピタルによる米国の著作権管理団体大手「BMI」の買収のアドバイザーを務めました。