YouTubeは、日本で「YouTube Music AIインキュベーター」を開始しました。同プログラムは、音楽の分野において、生成AIをいかに活用すべきか、アーティストや作詞作曲家、プロデューサーが参加して、YouTubeと議論したりツール開発に参加する取り組み。日本での発足によって、今後、YouTubeは日本の音楽業界とAIの可能性と課題を探り、業界やアーティストに新しい機会を提供するため、より一層の連携を目指します。3月21日にYouTube Japanオフィスで行われた発表会には、YouTube音楽部門グローバル責任者であるリオ・コーエン (Lyor Cohen)が来日し、プレゼンテーションが行われました。コーエンは、音楽生成AIのツール開発を行う上で、YouTubeが既に音楽業界のエグゼクティブ、アーティスト、作詞作曲家、プロデューサー、クリエイターとコラボレーションして、生成AIの可能性を探るために、責任を持って取り組んでいる、と同社の考え方を説明しました。

YouTube Music AIインキュベーター・プログラムに参加する日本企業の1社目には、初音ミクなどの開発を手掛けるクリプトン・フューチャー・メディアが協力します。また、グローバル・パートナーでもあるユニバーサル ミュージック グループの日本法人も、パートナーシップを継続します。

YouTubeでは、グーグルでAI開発を行う「Google DeepMind」チームと連携して、AI音楽のツールのテストを始めています。DeepMindが開発した音楽生成モデル「Lyria」を基にしたツールでは、生成AIで音楽を制作できる「Dream Track」をYouTubeショート用に公開しました。このツールは、ユーザーがプロンプトを入力すれば、実際のアーティストの音声を使用して、30秒のトラックを作り出すことを実現します。このツールの開発過程から、アーティストが参加し、意見するなど協力しています。

日本の音楽業界の中でも、徐々に生成AIの導入、活用について、議論され始めました。YouTube Musicの取り組みは、生成AIを活用することで、アーティストやクリエイター、音楽業界が、クリエイティブのプロセスを活性化させたり、アイデア創出を支援するためのツール・セットの開発に期待が高まります。頭の中のアイデアをタイムラグなくコンテンツに変えられたり、ライターズブロックに陥った時に新しいアイデアを見つけられれば、音楽制作や動画制作、プロモーションの施策開発の方法を改善することが出来るはずでしょう。それによって、アーティストやクリエイターが創作活動やファン向けのコンテンツ制作に専念できたり、音楽業界はマーケティングやプロモーションを迅速に実行出来るようになる、など、想定出来るメリットは広がっていくはずです。